Monday, January 23, 2012

国家の罠/佐藤優

おくればせながら読んでみた。



国際政治という抽象的な世界で人間と人間の関係がものを言うという、ごく当たり前な事実。「いかにシステム化するか」ということに普段エネルギーを割いている自分にとって、新鮮に感じた。

僕らは普段自分の影響力が及ばないレベルの大局を考えない。多くの場合、誰かが敷いたレールを所与のものとして、その上を走っているだけだ。

そして、レールを敷く作業には膨大な量の調査や綿密な計画、どろくさい根回しが必要だということや、良し悪しは別としてやっていることが違法行為を構成する可能性があるということも実感として理解できないでいたりする。

情報の非対称性、元来の使命感の違いなどから、一般大衆には国益を追う人の行動がわかりにくいものになるケースも出てくる(多くの場合わかりにくくて当たり前なのかもしれない)。ポピュリズムを背景とする国策捜査の対象となることが「運が悪い」といのは本当にそのとおりなのだろう。

これは僕らにとっても完全に他人事といえることでもなくて、もっと小規模なカタチで自分の身の周りにも起こりうるし、実際に起こっている。そういう経験を通して僕らは葛藤もするし、徐々に小ぢんまりと自分の身を守ることを覚えていく。

本書には、被告人、弁護士、検察、政治家、外交官、商社マン、死刑囚など、さまざまな帽子をかぶった人がさまざまな葛藤を抱えて登場する。本書が読みふけってしまうほど面白い理由の一つには、こういった人間模様に否応なしに共感し引き込まれるということもあるのだろう。

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余談だが、本書に登場する弁護士で知人を弁護した人がいたので、人の繋がりとは奇異だなと感じた次第。